目次
第1話:最近のウミシダ飼育
第2話:宇宙生命体との遭遇第1話 最近のウミシダ飼育、(H16年11月18日)
ウミシダ類は、先ごろまでは最も飼育の難しい生物とされてきました。海産生物の飼育がある程度可能になってきた30年ほど前から、つい近年まで飼育はほとんど不可能とされ、ライブロックがふんだんに入手できるようになってから、ようやく「しばらくは生かしておくことが可能な生物」としてのとり扱いになりました。 そしてさらにこの半年で様子が大きく変わりました。飼育困難どころか、状態のよい個体を入手すれば、非常に丈夫な生物であることがわかってきたのです。勿論長期飼育も可能となりました。
では、最近のウミシダ飼育のポイントを説明します。
<ポイント>
(1)個体の選別
当然のことながら、海から運ばれる途中での取り扱いのよいもの。触手が千切れていないもの(とはいえ、体は非常にデリケートな「つくり」なので、多少の千切れはあっておかしくありません)。
元気のよくない個体は触手に閉じているところと開いているところが分かれており、羽毛状の触手もそれぞれの中央に向けて閉じています。ちょうど、ソテツの葉っぱが葉脈のセンター部に向かって二つに折れ曲がっているような状態、こういう個体は避けるべきです。
元気のよい個体は、触手を思いっきり広げているか、「ふきのとう」のように外延部は開き、個体中央部は閉じていて、一本一本の羽毛は開いています。
個体にそっとふれてみて(またはピンセットーーー指はくっついてしまってちぎれる原因になるのでNG――でそっと押してみたときに)触手をわさわさと動かすものは良好です。
入荷するのは輸入品と、近海産の二種類ありますが、輸入品の品質はかなり劣悪のことが多いようです。
(2) 餌
ウミシダの飼育に革命的な進歩をもたらしたのが冷凍飼料「コペポーダ」です。海産プランクトンで、海水にといて羽毛にかけてやると盛んに摂取するのがわかります。
できれば1日2回、給餌すれば最高ですが、1日1回やれれば問題はありません。環境がよければ(珊瑚水槽など、微生物の活性が高い水槽)では給餌回数がより少なくても飼育できます。
そのほかに液状飼料でよいものが出ていますが、コペポーダに比べれば「やらないよりはまし」といった程度でしょう。問題になりません。
給餌は明るくても暗くても問題はありません。
(3) 環境
魚水槽では、当然硝酸塩の蓄積が激しいわけで、餌などでそのカバーをするのは難易度が高いと考えるべきでしょう。つまり魚がいないほうが長期飼育には向いています。
基本的に夜行性、陰日性なので照明はいりません。ライトが当たっているときには陰に隠れていることが多いようです。
海では潮通しのよいところにすんでいます。(プランクトン食のため)したがって水槽内でも水流が必要です。水流の噴出し口にもへばりつきます。
(4) 寿命
経験則では、だめになる個体は入手二ヶ月以内にばらばらになります。好調に摂餌していてもダメな個体はこうなります。原因はわかりません。
一方、2ヶ月を越えた個体はまめに給餌していれば、欠損した部分も再生し、成長します。非常に丈夫です。まもなく一年となる個体が二つありますが、現在極めて快調です(自宅)。
(5) 共生生物の面白さ
ウミシダ飼育の醍醐味のひとつが「共生」です。小型の海老、腰折海老、蟹、蟹ダマシの類がよく共生しています。特に触手の多い「ハナウミシダ」にはつきやすいようです。一年ほど前に入手した個体には4種8個体の共生生物がついていました。
先日入手した近海産のニホンウミシダ2個体のうち一個体には蟹がついていました。
輸入品にはほとんど共生はなく(在るのでしょうが輸送途中や流通ルートの中で取れてしまう可能性が高いわけです)、近海産に多いようです。
また、「共生生物」はヤギ、イソギンチャク、トサカ、サンゴ等、非常に多くの無脊椎動物に見られる現象で、大変興味深いものです。面白いもので、共生生物は宿主に色や形が本当によく似ています。造形・進化の不思議を見る想いです。
(6)生物飼育の決め手「コペポーダ」
コペポーダはそのほか無脊椎動物全般に非常によい餌です。たとえば珊瑚類には釣り餌の「アミエビ」を細かく刻んでやれ、などといわれていますが効果はまったく比べ物になりません。よくポリプも開きます。また、ケヤリムシにかけてやると、ほかの液状飼料やブラインシュリンプなどは羽毛をすっと引っ込めることが多いですが、コペポーダの場合にはそのようなことは非常に少ないです。それくらいよい餌ということです。この餌と同じメーカーから出ている「クリスタルシュリンプ」はプランクトン食の生物、小型の魚には最高の餌で、現在冷凍飼料で、圧倒的な品質の良さがあります。しかしきわめて残念なことは、コペポ−ダの良さを理解するショップが少なく、在庫させないお店が多いことです。逆に言えば、コペポーダをおいているか否かで、ショップの実力が一発でわかるということです。なぜならショップにとってこの餌は非常に高価で使い難いものですが、それだけのよさを持つ品物であります。
当店では「コペポ−ダ」1枚1239円です。
第2話:宇宙生命体との遭遇(H17年3月20日)
2年前の5月、前に勤務していた会社の後輩Y君とともに2人で
沖縄に旅したときのことである。
2泊3日のスケジュ−ルでとにかく潜ろうということになり、
前もって決めていた海岸にレンタカ−で到着、
ここはラグ−ンが広くドロップオフまではかなりの距離がある。
サンゴは元気良く生きていて
テ−ブルサンゴ・ハナヤサイサンゴ・エダサンゴ・ノウサンゴなど幅広く
ソフトコ−ラルもかなりの種類が観察できる。
一通り観察を終えて帰り際のこと。
コルトコ−ラルの林のなかでひときわ大きい群落があり
まるで山のようにこんもりしている。10本くらいの樹木の集合のように見えた。
一本一本がコルトコ−ラルのようになっており先端には1〜2cmの固まりが多数ついている。
色は肌色、大きさは高さ1m幅は1m50cmくらいとかなりの群落にみえた。
そっと手をのばして触ってみた。−−−とたんにズズっと手を持っていかれた。
慌てて踏ん張り、手を引っこ抜いたが、ズンズンズンズン、ズンズンズンズンと
巨大なコルトコ−ラルの林が砂の中に消えていった。
あっという間に、大きな穴を残してコルトコ−ラルの巨大な群落が砂の中に消えたのだ!
目が点になった。体中から血の気が引くのがわかった。
一体何が起こったんだ!!
ゾワゾワゾワ−−全身が総毛だっている。
恐怖に身体が硬直して動かない。
頭が白化しているのに気付き改めて,恐る恐る近づき見直すと−−−−穴しかない!
約10cmもあろうかという穴がポッカリ開いているではないか!
後日につづく
H17年4月2日つづき
なんだろう??
勇気をふりしぼり、好奇心も手伝って、砂にぽっかり開いている穴を
恐る恐る覗いてみた。しかし、何も無い。暗黒だけ。
ダイバ−ナイフをそっと入れてみるが、かなり深いようで、抵抗が全く無く、
これ以上入れると、手にツルが巻きついてきて、穴の中に引っ張り込まれ、
ムシャムシャ食われそうな予感に、ぞ・ゾ・ZO!!と身震い。手を慌てて引っ込めた。
まるで宇宙生命体ではないかと思える未知の生き物は砂の奥深く消えた。
10分くらいじっと見ていたが変化が見えないので、砂浜にあるベ−スキャンプに向かった。
相棒のY君もちょうど帰ってきていたので、
「今、とんでもない生き物と遭遇したぞ!!」と今起きた出来事を説明すると、
「間々田さん、手袋していて良かったですね!
素手なら死んでましたよ!!」
「え!!−−−−なんで?」
「それってウンバチイソギンチャクですよ、 聞いたことありませんか??」
「いや、あれがイソギンチャク???−−−あの猛毒のか?−−−でもあんなにデカイの?!」
「やたらにサンゴに触ったらだめですよ!危険危険!」
「いや、まったくだ!でもな-コルトコ−ラルだとばっかり思っていたし、
あまりにも見事な株だったもんだから−−−−ついつい」
−−−−ってな会話をしていたのだが、
旅行を終えて店にあるイソギンチャクガイドブックを見たら−−−−ム!
「全然違うじゃん!!」−−−「あのYのタコ助が!!」
ウンバチイソギンチャクとは似ても似つかなかった!
怒り爆発!−−−それでもイソギンチャクはありかなって思い直し、
調べていたら、どうやら、Y君の言ったことは的を得ていたようだ!
私の出くわした未知の巨大宇宙生命体は「ハナブサイソギンチャク」というらしい。
毒性もかなり強いようで、やはり素手で触るとかなり危険だという。
木の群落と見えたものは、1個体のイソギンチャクの触手の集合だという。信じられない!
ただ、ガイドブックにある写真とは異なる点もあるためその類似種かもしれない。
怒り沈静−−−−−それにしても、とんでもない生き物がいるもんだ!
今考えても、どうして、あんなにでかい群落のような触手が数秒で10cm程度の穴に
入ってしまうのだろうか!!!−−−−不思議である。
これだから生き物は面白い!
皆さんも沖縄にいったら、ハナブサイソギンチャクを探してみてください。
手袋は忘れずに!!
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