目次
1、両極分布の変な魚達の話(H13・3・19)
2、海の忍者イザリウオの話(H13・5・20〜H14・1・24)
3、ダンゴウオの話(H16・2・28〜29)1、両極分布の変な魚達の話(H13・3・19)
私が大学生の頃の話である。
(東京水産大学で水産生物研究会(以後水研と略す)
というクラブに所属しており、毎月千葉県にある小湊実習所の海に潜って
いた時の事。)
7月に水道とよばれる場所で、夜間潜水をしていると、岩と岩の間でチャガラ
がホバ−リングしているのを見つけた。チャガラはハゼの仲間。
体は赤みのある肌色をしていて、赤・青・黄の横縞模様がとてもきれいな魚。
採集は、簡単であった。右手に手網を持ち、左手(ライトを持ちながら)で魚を網の方
に誘い込むと、寝ぼけているのか、自分から網に入ってきた。当時1年生だった私は、
先輩たちに、「チャガラを取りました!」と大声をだして、誇らしげにバケツの中に魚を
入れたのである。この時は誰もがチャガラだと思っていたが、実はとんでもない魚
であることが後々判明した。
その日の夜間採集では,コバンヒメジ、オジサン、シチセンスズメ、ホシハゼなど
今では滅多にお目にかかれない魚達が、取れていた為、チャガラなどは、忘れ去ら
れた存在になっていた。私自身もコバンヒメジを採取したことに歓喜しており、全く眼中無し!
千葉から帰った数日後、水研の部室で、私と同期の岩田明久(現、京大アジア・アフリカ研
助教授)が、私の採ったチャガラの標本瓶を見ながら首を傾げていた。
「どうしたん?」−−−−と聞くと
「これチャガラじゃないぜよ!」−−−へ?
「ハゼの特徴がないんだよ!−−−かといってイタチウオでもないし・テンジクダイでも
ないし−−?」−−−ほんとかよ?と一同唖然。でも高校時代よりハゼの研究をして
いた岩田のいう事なので納得、一同新日本動物図鑑等の検索図鑑で調べ直した結論は
「クダリボウズギス」。1科1属1種の珍種であった。−−−−−ムムムどうやらすごいのを
GETしてしまったのかな???−−−と、目がギラギラ。
続く
H13年4月5日
このクダリボウズギスは、非常に特殊な分布をしており、
日本とオ−ストラリアにだけに生息する。赤道付近には生息していないようだ。
変でしょう?ここから皆さん、想像してみましょう。
例えば、昔々ユ−ラシア大陸とオ−ストラリア大陸がくっ付いていた頃から、この魚は
この姿で生きており、ユ−ラシア大陸からオ−ストラリア大陸が分離して
1方がオ−ストラリア大陸へ。またユ−ラシア大陸から日本が分離した時に
一方が日本に移動し、どういう理由かユ−ラシア大陸では全滅!
結果的にオ−ストラリアと日本にだけ残った。−−−−なんてどうです?
え!−− 一般的でつまらないって?−−じゃ貴方なら?−−−−
とにかく、こういった分布を両極分布という。
他にこの様な分布をいている魚にトビギンポがいる。
2種類ともかなり珍しい魚で、日本でも生息地は限定。
といっても、正確な生息調査がされていない為−−かもしれない。
私は幸い2種とも見つけているので、トビギンポについても少し説明しましょう。
この魚は、砂地に生息。
ただし、大きな岩と岩に囲まれた砂地に限定しており。
つまり、岩が波(嵐)を弱めてくれて、しかも潮通しがきくという環境が必要のようだ。
水深は、私の知っているところで3〜5m
手で砂地の表面をこするように移動すると
何かがヒョイ、ヒョイと飛ぶ。まるでエビが跳ねるようだが、
姿が見えない。すぐに砂に潜るためだ。親でも体長4cm程度で幅も5mm
くらいと小さく、しかも砂と同じ体色をしている為、見分けは困難。
よって網ですくって初めて正体がつかめる、といった具合だ。
また非常に環境の変化に弱く、網ですくっても、
水温の変化や、水質の変化ですぐに死んでしまう。
水槽では、まず飼う事は難しいでしょう。いや、家まで持ってくる事さえ−−−できないかも。
皆さん、是非1度この魚達との出会いにチャレンジしてみませんか?
以上
2、海の忍者イザリウオの話(H13・5・20〜14・3・12)
イザリウオのことは皆さん図鑑などで良く見ているとおもいます。
胸鰭が発達して手のようになっており、地をいざる(這う、歩く)ように移動する魚。
頭の上にチョンチョリンコがあり、それを振って餌(小魚)を近寄せてパクッて食べる
のです。−−−−−−−−というのは、皆さん知っているでしょう。
ここからの話は−−−−−−−−−−私の体験談・飼育談です。
イザリウオをフィ−ルドで見つける事はかなり難しい。捜して、見つかることはほとんど
なく、偶然たまたまみつかる事が多い。
私とイザイリウオとの出会いは2とうり。
1、イザリウオとの出会い(H14・1・16)
巻き網漁の船に私は乗る機会があった。その時巻き網に入っていた魚の中に
イザリウオを見つけた。それも2〜3尾といった数ではなく、100尾近いむれであった。
どんな地形で巻き網漁をしたかというと、なんと砂地である。
一緒に入ってきたのは、カレイ・キス・メゴチ・ガザミなど。
−−−−−え!!−−−うそ!−−−−−と思った人が多いと思う。
私もイザリウオは岩場、もしくは岩場と岩場の間の砂地に生息する。と
勝手に思っていた。実は砂地に多く生息するのである。
確かにアンコウなどは砂地にいるという。イザリウオも同じような物らしい。
水深は15〜20mほどの湾内である。しかも場所を変えても同じ様に採れたのである。
いったいこの湾にはどれだけのイザリウオが生息しているのだろう−−−とあきれる。
それほどたくさんいたのである。
私は内心ほくそえみながら1尾もらってかえった。
そのイザリウオは私の家に1年と4ヶ月生息した。
2、ベニイザリウオとの出会い
千葉県外房のある海で磯採集をしていた時のこと。
タイドプ−ルでイソカサゴを採集したとき、ベニイザリウオをみつけた。
ほんとに赤いイザリウオである。
イソカサゴを採ろうとして網を入れると、岩が動いたのである。
一瞬どきっとした。何が動いたんだろう。岩とサンゴ藻しか見えない。
じ−っと見ても判らなかった。気を取り直して、もう一度網を入れると
もぞもぞと赤い岩が陰から動き出してきたのである。
とっさに何がなんだか判らなかった。
その時、実をいうと私はベニイザリウオという魚がいることを知らなかったのである。
赤いイザリウオがいるということなど、頭の外であった。−−−−ビックリした!
赤い忍者である。赤い岩(サンゴ藻などがついている)と岩の間の奥にいたため
ほんとに判らない。動いてくれなかったら見逃していたに違いない。
それほど見つけるのは難しい。でも採集するのは簡単であった。
このベニイザリウオは私の家に1年と2ヶ月生息した。
さてこれからは、私の飼育談である。
3、イザリウオの食欲(H14・1・19)
私はイザリウオが好きでたまらない。ユ−モラスな体型、手のように動く胸鰭
獲物をとるときのチョンチョリンコ−−−−エビが動いてるように器用に動かす。
見ていてこれほど飽きのこない魚はいない!
しかしこの魚ほど、食い意地の悪い魚は他にいないのではなかろうか。
イザリウオと、それより1回り大きいコウライトラギスを
一緒に飼っていた時のことである。
3ヶ月程一緒の水槽に混泳していたので、けっこう仲がいいと思っていた頃、
朝水槽を見てみるとコウライトラギスがいないのである。
しまった!!飛び出した!!と思い水槽の回りを探したが、いない。
今飛び出したのなら、まだ助かると思い懸命に部屋中探したが−−−いない!
何処に行ったんだろう?と思って水槽をふと見ていたら、−−−−−
大きいのである−−−−−イザリウオのお腹が−−−異常に!!
良く見ると、コウライトラギスが2つ折りになってお腹に入っているではないか!
しかも、まだお腹で動いていた。ショックだった!
なんでこんなに大きいのが食えるんだよ!!
吐き出せ〜〜コラ!!
H14・1・19
4、イザリウオ飼育におけるオオウソの常識−−−本は嘘が多いぞ!!
<その1>
イザリウオは小さい水槽で飼育出来る。−−−−はオオウソ!
私も30cmの水槽でイザリウオを1年以上は飼育することができる。
確かにできるが−−−これは間違えである。
イザリウオやハナオコゼは経験的に、他の魚より硝酸塩の蓄積に非常に弱いと考えられる。
ということは小さい水槽では、硝酸塩がすぐ溜まり、水質の変化が激しく
イザリウオの飼育には適さない事を意味する。
当然、細めに硝酸塩濃度をチェックし、細めに水換えすれば良い。
でも、一般の人はできるだけ、手間のかからない水槽作りが基本であり
それが長続きさせるコツでもある。
よって、一般の方にはイザリウオの小さい水槽での飼育は不向きであり、
もっと硝酸塩濃度に鈍感な魚をお勧めする。ギンユゴイやメジナ・シマスズメなど
は、かなり強いと思う。
<その2>
大きな水槽の中でプラスチックケ−スに隔離して飼育すれば良い−−−はオオウソ!
イザリウオは自然では結構流れのある所に生息している。
岩場であれ砂地であれ、流れに負けない様に必死になって、
岩や砂にしがみついている。水流のほとんどないプラスチックケ−スに隔離する
なんて論外である。事実私自身がプラスチックケ−スで何度も失敗して
解ったことである。プラスチックケ−スに穴を明けてもダメである。
<その3>
イザリウオは毎日または2日に一度餌を与える−−−−はオオウソ!
イザリウオは1週間に1度餌を与える。−−−−これが正解!
経験的に毎日または、1日おきに餌をあげた場合、寿命は短い。ポックリ死ぬ事
が多い。そのほとんどが消化不良である。イソスジエビなどを毎日与えると
殆ど短命に終わる。
どうやら、イザリウオは大食いで一度にでかい魚を食べたりするが、
消化はゆっくり行われるらしく、食べた後はかなりの期間飢餓に耐えるようだ。
大食い=毎日沢山食べる−−−−は間違えなのである。
H14・3・4
<その4>
イザリウオの飼育に生餌が必要−−−−−−−−−はオオウソ!
イザリウオには生餌は不要−−−−−−−−−−−これが正解!
勿論、生餌をあげられるようなら与えてください。
一般的には、生餌は手に入りずらいので、クリルで充分です。
ただテクニックが必要です。
イザリウオは飢餓に強いので、しばらく食べさせずにしておきます。
お腹がすけば、自分からクリルにかぶりつきます。
前出のイザリウオとベニイザリウオは、ほとんど生餌は与えませんでした。
それでも1年以上充分飼育可です。1〜2ヶ月に1度でも生餌を与えられたら充分です。
H14・3・12
5、その他イザリウオ飼育で、気付いた事
T<長期飼育で、気を付ける事・コツ>
1、餌の量を少なめに、1週間に1度である。
−−1回に与えるクリルは、5cmのイザリで2個、7cmで3個程度でOK
2、強い水流をつくる。
3、硝酸塩の蓄積しない水槽をつくる。
といった事であろう。
U<いきなりクリルを食べさせる方法>
透明なアクリルの棒(1本100円程度)をガスの炎などで加熱し、引っ張って細くする。
クリルを突き刺して目の前でちらつかせる。これでたいていは食べる。
食べなければ1週間や2週間の絶食はどうということはないので、お腹が空くまで
ほったらかす。すると必ず食いついてきます。
生のオキアミから食べさせるのも簡単。
イザリウオに限らず、魚は目のある餌には、まず目の部分に食いついてくる。
従って、クリルと生のオキアミの場合、後者の方が餌付けし易いのは道理。
つまり、頭と目玉の付いた生のオキアミをアクリル棒に突き刺して与えるのが最も
簡単な方法といえる。
好みによりクリルに変更するのもいいでしょう。
クリルを食べる状態にしておくと、例えばゾ−エマリン等のビタミン溶剤や薬を
クリルに染み込ませてから与えるという方法がとれる。
いつも生のオキアミばかりでは栄養のバランスがとれないから
海産の小魚などの入手ができない場合には必須のテクニックだ。
さて、皆さん、この海の忍者イザリウオを飼ってみましょう。面白いですぞ!
以上
3、ダンゴウオの話(H16年2月28・29日)
ダンゴウオの話第1部
皆さんはダンゴウオという魚をご存知でしょうか?
カジカ目ダンゴウオ科の魚である。
(しかし1部の図鑑にはコンペイトウ科と明記されているものがある。私の所有している最も古い図鑑と最も新しい図鑑にはダンゴウオ科とあり、中間に出版されている図鑑にはコンペイトウ科とある。−−−−へんですね!!!)
この仲間には、ダンゴウオのほかに、トゲダンゴ、イボダンゴ、ナメダンゴ、コンペイトウ
マルコンペイトウ、フウライウオ、ホテイウオなどがいる。殆ど知られていない魚達ばかりであるが、なんとも親しみのわく魚の名前が多いではないか。
コンペイトウなんて今あるのであろうか? 我々の世代には、駄菓子屋さんなどで親しみのある名だ。−−−郷愁をさそうね
おっと脱線してしまった!そう−−ダンゴウオである。
この魚成魚でも1.5〜2cmくらいのかなり小さな魚である。よって非常に見つけにくい。
さらに北方系の魚であるため、夏に探そうったってそうはいかない。
海水浴のついでに−−−−−−なんていうのは無理無理
実は関東でも採集できるのであるが、これがまた大変。
沿岸に現れるのはなんと12月〜2月に限られる。寒い寒い!!
北風にホッペタぶん殴られながら、鼻水ジョロジョロ垂らしながら−−−あっショッペエ!
−−−なんていいながら、イジメに近いような状況で目を真ん丸くさせながら、
黙々と探すのである。手がかじかむやら−−足は凍えそうになるやら
そんななかで最初の1尾が見つかったときは−−−−もうあなた−−−−
こうふん!コウフン!興奮!である。イジメが快感に超変化した瞬間だ。
そんな苦労をして採集したダンゴウオ−−−当然飼育したいではないか!
そんなこんなで現在3尾のダンゴウオを飼育しているが、これがまた面白い。
丸まっちい体に小さなシッポ。
ダンゴ2つを串刺しにした感じからこの名がついたのであろう。
下からみると、体の下部に大きな吸盤(腹ビレが変化したもの)がついていて
見様によっては、下腹部全部吸盤みたいに見える。
その吸盤で海草や岩にピタッと引っ付いている。
ところが、ピョコピョコと動く−−−というより回転する。
吸盤を中心に90度、180度と上下に体を動かしながら向きを変える。
その動きは他の魚にはありえない。メチャクチャかわゆい!!
ところがである、かわゆさとは裏腹に、獰猛で貪食なのだ。
本に「イサザアミを食べる」と書いてあったが現在当店にはイサザアミがない。
仕方なしにモエビの1番小さいものを選んで与えてみた。与えてみたら、
ダンゴウオより大きかった。ま-仕方が無いので明日食べ残していたら
別のものを考えようとのん気を決め込む。実際にはモエビがダンゴウオを
襲わないだろうな- −−とそっちの心配が強かった。
翌日水槽を見るとエビが跡形もないのである。カスもないので不審に思い
周囲を探すもモエビが飛び出した様子も無い−−−−−???
3日後またモエビを与えた時、見てしまった。
自分より大きなモエビを捕らえて食べる瞬間を。
なんと−−−−二つ折りにして丸呑み!!!なんと豪快な食いっぷり!!
ダンゴウオの口はオチョボ口のように見えていた為、
餌をフグのようにかじって食べるものと思い込んでいた。目を疑った
オチョボ口が口裂け女に変身したのだ。
というように、本当に楽しませてくれる魚なのだが、飼育はいたって簡単
「え!!−−−−ウソ付け!!」−−−って
では次回飼育方法をご説明いたします。本日時間切れ!
ダンゴウオの話第二部(飼育編)
ダンゴウオは冷水系の魚であることを前回述べたので
皆さんは夏にク−ラ−が必要だと考えた事と思う。
「家では飼育は無理だな」−−−−と
しかし、意外と簡単に飼育ができるのである。
まず当店での飼育例をご紹介します。
写真を見ていただければおわかりでしょうが、いたって簡単。
発泡スチロ−ルの箱の中にある小さなプラケ−ス(PC-ミニS又はPC-ミニ)3つには、
それぞれに海水と、1尾づつダンゴウオが入っている。
大きめのプラケ−ス(PC-1)は水換え用の海水である。
いつでも同じ水温の海水で、水換えをする為だ。
1Lのペットボトルは、冷凍庫で凍らせたもの。
これですべてOK!−−−−−フタを忘れずに!
餌はモエビを週に1回与えるのみ−−−え!少なすぎる!!−−−って
いえいえとんでもない。自分と同じような大きさのエビ1尾食べれば1週間は充分である。
それ以上与えると、逆に消化不良でポックリ死するであろう。
水換えも週に1回全水取換え、餌を与えた翌々日か3日後でよい。
ペットボトル1Lは毎日取り換える。夏は2回が理想
冷凍庫には常に2本〜3本入っている状態にする。
人によっては、夏は冷蔵庫の中で飼育するそうです。
どうです!これなら誰でも簡単に飼育できるでしょう!
以上
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